新法の目的・性格

新法の位置づけ

    • 新法の要点
      • 公正性向上
        • 審理員による審理手続の導入
        • 行政不服審査会等への諮問手続の導入
        • 審査請求人・参加人の手続的権利の拡充
          • 証拠書類等の謄写、処分庁への質問等
      • 利便性向上
        • 不服申立期間の延長
        • 異議申立ての廃止による審査請求への一元化
        • 審理の迅速化
          • 標準審理期間の設定
          • 審理員による審理手続の計画的遂行
        • 不服申立前置の見直し

整備法の内容

改正行手法の位置づけ

    • 処分後の手続は行政不服審査法
    • 処分前、処分以外の手続は行政手続法

 

審査請求・再調査の請求・再審査請求

  • 定義
    • 審査請求
      • 行政庁の処分又は処分に係る行政庁の不作為について、審査庁(原則として、審査庁・不作為庁の最上級行政庁)に対して不服申立てをする手続
      • (区分)
        • 処分に対する審査請求(2条)
        • 不作為に対する審査請求(3条)
    • 再調査の請求
      • 処分庁自身が審査請求よりも簡易な手続きで事実関係の再調査をすることにより、処分の見直しを求める手続き
      • (例外的措置)
        • 個別法により許容される場合に認められる(5条1項)
      • (趣旨)
        • ①審査請求よりも簡易迅速な手続により国民の権利利益救済を可能にする。
        • ②審査請求の前段階で処分庁が処理をすることにより審査庁の手続的負担を軽減する
      • (選択)
        • 審査請求と再調査の請求のどちらの手続を利用するかは国民の自由選択(5条1項ただし書)
        • 再調査の請求をしたときは、原則として、当該再調査の請求の決定を経た後でなければ、審査請求できない(5条2項)
    • 再審査請求(6条)
      • 審査請求の裁決に不服がある者が、さらにもう一段階の不服を申し立てる手続き
      • (選択)
        • 再審査請求できる場合、再審査請求するか出訴するかは自由選択
  • 異議申立ての廃止
    • 理由
      • 客観性・公正性が十分でなかった
      • 審査請求と二本立てで手続がわかりづらかった
      • 手続保障のレベルを上げるため
  • 再調査請求の意義
    • 簡易迅速
    • 審査庁の手続的負荷軽減
  • 再審査請求の存置

審査請求の要件

審査請求の対象

    • 「行政庁の処分」(2条)
      • 「行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為」(1条2項)
        • ※処分は事実上の行為を含む概念である(46条1項かっこ書)。
          • 事実上の行為につきその撤廃が観念されている(45条3項、47条)
        • 「事実上の行為」が処分か行政指導かは解釈による
          • 処分⇒行政不服審査法の適用
          • 行政指導⇒行政手続法の適用
    • 「行政庁の不作為」(3条)
      • 「法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないこと」(3号かっこ書)
        • ※「法令」には、条例も含む
      • 不作為状態にある申請を認容すべきか否かを確定することをもって紛争解決とする(49条3項)
    • (適用除外:7条1項各号) ※一般概括主義=適用除外事項以外は本法適用
      • ①国会
      • ②裁判
      • ➂議院
      • ④検査官会議
      • ⑤形成訴訟
      • ⑥刑事手続
      • ⑦税金関係
      • ⑧学校関係
      • ⑨刑務所関係
      • ⑩外国人の出入国・帰化
      • ⑪試験・検定
      • ⑫この法律に基づく処分

審査庁

    • (原則)処分庁・不作為庁の最上級行政庁(4条4号)
    • (例外3つ)
      • 4条1号:上級行政庁がなければ当該処分庁・不作為庁
      • 4条2号:宮内庁長官・外局の長
      • 4条3号:主任の大臣

審査請求期間

    • (処分についての審査請求)
      • 主観的請求期間:
        • 処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月(18条1項本文)
        • 再調査の請求をしたときはその決定があったことを知った翌日から1か月
      • 客観的請求期間:
        • 処分があった日の翌日から1年
        • 再調査の請求をしたときはその決定があった日の翌日から1年
      • ※「正当な理由があるとき」、期間経過後も審査請求できる(18条1項ただし書、同条2項ただし書)
    • (不作為についての審査請求)
      • 不作為状態が続く限り審査請求可能
        • 「申請から相当の期間が経過しないでなされた」審査請求は不適法却下(49条1項)

審査請求適格

    • (処分についての審査請求)
      • 「行政庁の処分に不服がある者」(2条)
    • (不作為についての審査請求)
      • 「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者」(3条)

審査請求の審理手続

標準審理期間

    • 審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間(16条)
    • 定めるのは努力義務(16条前段)
    • 定めた場合、公にしておくのは義務(16条後段)

手続の開始

    • 審査請求書の提出(19条1項)
    • 審査庁が処分庁等と異なる場合、処分庁等を経由して審査請求できる(21条1項)
      • 処分庁等はただちに審査請求書を審査庁に送付しなければならない(21条2項)
    • 処分庁に審査請求書を提出した時点で、処分について審査請求があったとみなす(21条3項)
    • 審査請求書の補正(23条)
      • 補正しない場合、審理員による審理手続を経ないで、審査請求の却下裁決(24条1項・2項)

審理員による審理手続

審理員による審理手続の導入

      • 審理員による審理手続
        • 審理員が主張・証拠の整理などを含む審理を行う
        • 審理員意見書を作成
        • これを事件記録とともに審査庁に提出
      • (審理員)
        • 処分・再調査の請求についての決定・処分に係る不作為に関与していない者(9条1項2項)
          • 審査請求の審理手続をより客観的で公正なものにする趣旨
        • 審査庁に所属する職員
          • 組織法的に完全なかたちの第三者ではない
            • 審査庁の指揮監督下
            • 職権行使の独立を保障する明文規定もない
        • 審理員の指名と、審査請求人・処分庁への通知(9条1項)
        • (審理員となるべき者の名簿:17条)
          • 作成は努力義務
          • 作成した場合、公表は義務
      • (審理員による審理手続が行われない場合)
        • 行政委員会等が審査庁となっている場合(9条1項ただし書・同項各号)
        • 審査請求の補正に応じないため却下する場合(9条1項ただし書、24条)
        • 個別法により審理員による審理手続が排除される場合
          • 情報公開法・行政機関個人情報保護法
            • 情報公開・個人情報保護審査会により十分な審理が確保されているから

審理手続の計画的遂行

      • 審理関係人(審査請求人・参加人・処分庁等)および審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らねばならない(28条)。
        • 事前の争点整理(37条1項)

代理人・参加人・補佐人

      • (代理人)
        • 審査請求は、代理人によってすることができる(9条1項)
      • (参加人)
        • 審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することとなった利害関係人(13条1項)
          • 利害関係人=審査請求人以外の者であって係争処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有すると認められる者
        • (参加人の手続的権利)
          • 処分庁等からの弁明書の送付(29条5項)を受ける
          • 審査請求人からの反論書の送付(30条3項)を受ける
          • 意見書の提出(30条2項)できる
          • 口頭意見陳述における質問(31条1項・5項)
          • 審理員意見書の写しの送付(43条3項)
        • 参加人の手続的権利拡充により、多極的紛争の有効な解決機能を果たしうると期待
      • (補佐人)
        • 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる(31条3項)。

弁明書の提出

      • 審理員は、審査庁から指名されたときは、ただちに審査請求書を処分庁等に送付しなければならない(29条1項)
      • 審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求める(29条2項)
      • (弁明書の必要的記載事項:29条3項各号)
        • 処分についての審査請求に対する弁明書:
          • 処分の内容及び理由
        • 不作為についての審査請求に対する弁明書:
          • 処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由
      • 弁明書への添付書類(29条4項)
      • 審理員は、弁明書を審査請求人・参加人に送付(29条5項)

反論書等の提出

      • 審査請求人は、弁明書に記載された事項に対する反論書を提出できる(30条1項)
      • 参考人は、審査請求に係る事件に関する意見書を提出できる(30条2項)
      • 審理員は、反論書・意見書をそれぞれ他の審理関係人に送付(30条3項)

口頭意見陳述

      • (原則)審査請求の手続は書面による
      • (例外)審査請求人または参加人からの申立てがあった場合
        • 口頭意見陳述の機会を与えなければならない(31条1項)
      • 口頭意見陳述
        • 審理員が期日・場所を指定、審理関係人全員を招集(31条2項)
        • 申立人の補佐人の参加(31条3項)
        • 申立人の質問権(31条5項)
          • ※行政側による応答義務等は規定されていない

証拠書類等の提出、物件の提出要求

      • 審査請求人・参加人、処分庁等は証拠書類等を提出できる(32条1項2項)
      • 審理員は、審査請求人・参加人の申立てによりまたは職権で、物件の提出を要求できる(33条)

参考人陳述・鑑定の要求、検証、審理関係人への質問

      • (参考人陳述・鑑定の要求)
        • 審理員は、審査請求人・参加人の申立てによりまたは職権で、参考人陳述・鑑定を要求できる(34条)
      • (検証)
        • 審理員は、審査請求人・参加人の申立てによりまたは職権で、必要な場所につき、検証できる(35条1項)
          • 申立人の立会権(35条2項)
      • (審理関係人への質問)
        • 審理員は、審査請求人・参加人の申立てによりまたは職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる(36条)

審査請求人等による物件の閲覧・謄写

      • 審査請求人・参加人は、審理手続終結までの間、審理員に対し、提出書類・物件の閲覧および写し等の交付を求めることができる(38条1項)
        • 写し等の交付まで認めたことは大きな改革

手続の併合・分離、執行停止の意見書

      • (審理手続の併合・分離)
        • 審理員は、必要があると認める場合には、審理手続を併合・分離できる(39条)
      • (執行停止の意見書)
        • 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に執行停止の意見書を提出できる(40条)

審理手続の終結

      • (審理手続の終結事由)
        • 審理員が、必要な審理を終えたと認めるとき(41条1項)
        • 弁明書・反論書・意見書・証拠書類等・その他物件が、審理員が定めた相当の期間内に提出されない場合(41条2項1号)
        • 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき(41条2項2号)
      • (終結の手続)
        • 審理員は、速やかに、審理関係人に以下の事項を通知(41条3項)
          • 審理手続を終結した旨
          • 審理員意見書・事件記録を審査庁に提出する予定時期
        • (審理員意見書の作成・提出)
          • 審理員は、審査手続きが終結したときは、遅滞なく、審理員意見書を作成(42条1項)
            • 審理員意見書=審査庁がすべき裁決に関する意見書
          • 審理員意見書を事件記録とともに、速やかに審査庁に提出(42条2項)

行政不服審査会の関与

行政不服審査会等

      • (趣旨)
        • 第三者機関が審査庁の判断の妥当性をチェックすることにより、審査庁による裁決の公正性を向上させること
      • (役割)
        • 行政不服審査委会等は、審理員による第一次的な判断を受けるかたちで、審査請求を棄却しようとする審査庁の判断の適否を審査する諮問機関
      • (手続)
        • 書面審理が中心
      • (組織)
        • 行政不服審査会:
          • 総務省に設置(67条1項)
          • 9人の委員で組織(68条1項)
            • 会長は委員の互選(70条1項)
        • 地方公共団体に置かれる機関:
          • 執行機関の附属機関として機関を置く(81条1項)
          • 条例で、事件毎に執行機関の附属機関を置くことができる(81条2項)
            • 常設ではなく、アドホックな設置も許容
          • ※行政不服審査会の規定が準用される(81条3項)
            • それ以外の組織・運営に必要な事項は、条例で定める(81条4項)
              • 地方公共団体による制度設計上の自由度が高められている。

行政不服審査会への諮問

      • 審査庁は、審理員意見書の提出を受けたとき、行政不服委員会(地方の設置機関)に、諮問しなければならない(43条1項)。
      • (諮問を要しない場合:42条1項各号)
        • 1号:処分につき審議会等の議を経た場合
        • 2号:裁決につき行政委員会・地方議会等の議を経て採決しようとする場合
        • 3号:審議会等の議を経て申請満足型の裁決をしようとする場合
        • 4号:審査請求人が諮問を希望しない場合 ※審査請求人側の負担軽減
          • 参加人から反対する旨の申出がされている場合を除く(同号かっこ書)
        • 5号:行政不服審査会等により諮問を要しないと認められた場合
          • (考慮要素)
            • 国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案
        • 6号:審査請求が不適法であり、却下する場合
        • 7号:処分の全部取消し、全部撤廃をする場合
          • 以下の場合は、諮問を要する
            • 反対する旨の意見書が提出されている場合
            • 口頭意見陳述において反対する旨の意見が述べられている場合
        • 8号:申請に係る全部認容をする場合
          • 以下の場合は、諮問を要する
            • 反対する旨の意見書が提出されている場合
            • 口頭意見陳述において反対する旨の意見が述べられている場合
      • (手続)
        • 行政不服審査会への諮問の際、審査庁は、審理員意見書・事件記録の写しを添えなければならない(43条2項)
        • 審査庁は、諮問した旨を審理関係人に通知、審理員意見書の写しを送付(43条3項)

行政不服審査会での審理

      • 合議体による調査審議(72条1項2項)
        • 3人の合議体(72条1項)
        • 全員の合議体(72条2項)
      • 調査権限(74条)
      • 口頭意見陳述の機会の付与(75条)
        • (原則)審査関係人の申立てがあった場合、口頭意見陳述の機会を与えなければならない(75条1項本文)
        • (例外)審査会が、その必要がないと認める場合、口頭意見陳述の機会を与えなくてよい(75条1項ただし書)
      • (審査関係人の権限)
        • 審査関係人→審査会:主張書面・資料の提出(76条)
        • 提出された主張書面・資料の閲覧写し等の交付請求(78条1項)
      • (諮問に対する答申:79条)
        • 答申書の写しを審査請求人・参加人に送付
        • 答申内容の公表

裁決

審査請求の終了

    • 審査請求は、審査庁の裁決により終了する。
      • 審査請求人は裁決があるまではいつでも審査請求を取り下げることができる(27条1項)
        • 審査請求の取下げは、書面で行う(27条2項)
    • 審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたときは、遅滞なく、裁決をしなければならない(44条)
      • 審査会の指紋を要しない場合、審理員から審理員意見書が提出されたとき
    • ※裁決の主文が、審理員意見書・答申書と異なる内容である場合、異なることとなった理由を記載しなければならない(50条1項4号かっこ書)

処分についての審査請求の裁決

    • 審査請求が不適法である場合:
      • 審査請求を却下する裁決(45条1項)
    • 審査請求に理由がない場合:
      • 審査請求を棄却する裁決(45条2項)
    • 事情判決:
      • 審査請求を棄却する裁決(45条3項)
        • 裁決の主文で、処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
    • 審査請求に係る処分(事実上の行為を除く)が違法・不当である場合:
      • 当該処分の全部・一部取り消し、またはこれを変更する裁決(46条1項)
        • 処分の変更は、審査庁が処分庁の上級行政庁か処分庁のいずれでもない場合、できない(46条1項ただし書)
      • (法令に基づく申請に対して一定の処分をすべきものと認めるとき)
        • 上級行政庁である審査庁: 処分庁に対して処分すべき旨を命ずる(46条2項1号)
        • 処分庁が審査庁: 当該処分をする(46条2項2号)
    • 審査請求に係る事実上の行為が違法・不当である場合:
      • 当該事実上の行為が違法・不当であることを宣言する裁決(47条1項)
        • 処分庁以外の審査庁:
          • 当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更すべき旨を命ずる(47条1項1号)
            • ※審査庁が処分庁の上級行政庁以外の場合、変更を命ずることはできない(47条1項ただし書)
        • 処分庁である審査庁:
          • 当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する(47条1項2号)
    • 不利益変更の禁止(48条)

不作為についての審査請求の裁決

    • 審査請求が不適法である場合:
      • 審査請求を却下する裁決(49条1項)
    • 審査請求に係る不作為が違法・不当でない場合:
      • 審査請求を棄却する裁決(49条2項)
    • 審査請求に係る不作為が違法・不当である場合:
      • 当該不作為が違法・不当であることを宣言する裁決(49条3項前段)
        • 不作為庁の上級行政庁である審査庁:
          • 当該処分をすべき旨を命ずる措置をとる(49条3項1号)
        • 不作為庁である審査庁:
          • 当該処分をする措置をとる(49条3項2号)

裁決の拘束力

    • 裁決は、関係行政庁を拘束する(52条1項)
      • 関係行政庁は、裁決によって示された判断内容を実現する法的義務を負う。
      • 取消裁決・撤廃裁決があった場合、同一の事情の下で、同一内容の処分を繰り返すことは許されない。
    • 処分が裁決で取り消された場合:
      • 処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない(52条2項)
    • 公示された処分が裁決で取消・変更された場合:
      • 処分庁は、処分が取消・変更された旨を公示(52条3項)
    • 利害関係人に通知された処分が裁決で取消・変更された場合:
      • 通知された者にその旨を通知しなければならない(52条4項)

 

執行停止

  • 執行不停止原則
    • 審査請求されても、処分の効力・執行は停止しない(25条1項)
  • (執行停止)
    • (主体)処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁(25条2項)
      • (要件)必要があると認める場合
      • (端緒)審査請求人の申立て、または、職権で、
      • (できること)
        • 処分の効力の全部または一部の停止
        • 処分の失効の全部または一部の停止
        • 手続の続行の全部または一部の停止
        • その他の措置
    • (主体)処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁
      • (要件)必要があると認める場合
      • (端緒)審査請求人の申立て
      • (手続要件)処分庁の意見を聴取
      • (できること)
        • 処分の効力の全部または一部の停止
        • 処分の失効の全部または一部の停止
        • 手続の続行の全部または一部の停止
    • (義務的執行停止:25条4項)
      • (要件)
        • 審査請求人の申立て
        • 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるとき
          • 「重大な損害を生ずる」か否かの考慮要素(25条5項)
            • 損害の回復の困難の程度
              • 損害の性質及び程度
              • 処分の内容及び性質
        • (消極要件:25条4項ただし書)
          • 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
          • 本案について理由がないと見えるとき
    • ※処分の効力の停止は、それ以外では目的を達成できない場合だけ〈25条6項〉
    • (手続)以下のことがあったとき、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない(25条7項)
      • 執行停止の申立てがあったとき
      • 審理員から執行停止の意見書の提出(40条)があったとき
  • (執行停止の取消し)
    • 以下のとき、審査庁は、執行停止を取り消すことができる〈26条〉
      • 執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかになったとき
      • その他事情が変更したとき

 

再調査の請求

  • (定義)
    • 処分庁が簡易な手続きで事実関係の再調査をすることにより、処分の見直しをする手続
      • ※不作為についての再調査の請求は規定されていない。
    • 個別法に特別の定めがある場合に限り認められる。
  • (審査請求との関係)
    • 国民の自由選択(5条1項)
  • (簡易な手続)
    • 審理員による審理はない
    • 行政不服審査会等への諮問手続もない
    • 処分庁自ら再調査をするから、弁明書・反論書のやり取りはない
    • 口頭意見陳述における処分庁への質問もできない(31条を準用する61条で、5項は除かれている)
  • (請求期間)
    • 主観的請求期間:
      • 処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月(54条1項)
    • 客観的請求期間:
      • 処分があった日の翌日から起算して1年(54条2項)
    • ※正当な理由があるときは、この期間を経過しても再調査の請求ができる(54条1項ただし書、同条2項ただし書)
  • (3か月後の教示)
    • 再調査の請求がなされた日から3か月が経過しても当該再調査の請求が係属している場合
      • 処分庁は遅滞なく、当該処分について直ちに審査請求できる旨を書面でその再調査の請求人に教示しなければならない(57条)
    • ※再調査の請求の決定を経ずに審査請求がされたとき、当該再調査の請求は取り下げられたものとみなす(56条)
  • (決定)
    • 再調査の請求が不適法である場合:
      • 却下決定(58条1項)
    • 再調査の請求に係る処分が違法・不当でない場合:
      • 棄却決定(58条2項)
    • 再調査の請求に係る処分(事実上の行為を除く)が違法・不当である場合:
      • 処分の全部・一部を取消・変更する決定(59条1項)
    • 再調査の請求に係る事実上の行為が違法・不当である場合:
      • 当該事実上の行為が違法・不当である旨の宣言決定(59条2項)
      • 当該事実上の行為の全部・一部を撤廃・変更(59条2項)
    • ※不利益変更禁止(59条3項)
  • (教示)
    • 再調査の請求に係る処分につき審査請求できる旨、審査請求をすべき行政庁、審査請求期間を記載して教示しなければならない(60条2項)

 

再審査請求

  • (定義)
    • 個別法に定めがある場合に、処分についての審査請求の裁決(原裁決)に不服がある者が、さらにもう一段階の不服申し立てをする制度(6条)
  • (手続)
    • 審査請求と同じ(66条)
      • 審理員による審理手続等、審査請求と基本的に同等の手続
  • (再審査請求の対象)
    • 原裁決または当該処分(6条2項)
    • ※原裁決が違法・不当でも、係争処分が違法・不当でなければ、再審査請求の棄却裁決となる(64条3項)
      • ※この場合、原裁決の違法・不当を宣言する必要はない
  • (再審査請求期間)
    • 主観的請求期間:
      • 原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月(62条1項)
    • 客観的請求期間:
      • 原裁決があった日の翌日から起算して1年(62条2項)
    • ※正当な理由があるときは、期間を経過しても再審査請求できる(62条1項ただし書、同条2項ただし書)
  • (自由選択)
    • 再審査請求するか直接裁判所に出訴するかは、国民の選択にゆだねられる。

 

教示・情報提供

教示制度

    • (教示)
      • 不服申立てをすることができる処分を書面で行う場合、行政庁は処分の相手方に対し書面で、以下の内容を教示しなければならない(82条1項)
        • ①不服申立てできる旨
        • ②不服申立てをすべき行政庁
        • ➂不服申立てができる期間
      • 利害関係人に教示を求められた場合、教示しなければならない(82条2項)
        • 利害関係人が書面による教示を求めたときは、書面で教示しなければならない(82条3項)
    • (教示しなかった場合)
      • 当該処分庁に不服申立書を提出できる(83条1項)
      • 処分庁以外の行政庁に審査請求できる処分であるとき、処分庁は速やかに、当該行政庁に不服申立書を送付(83条3項)
        • 初めから当該行政庁に審査請求されたものとみなす(83条4項)
      • 処分庁以外の行政庁に審査請求できる処分以外であるとき、処分庁に不服申立書が提出されたときは、はじめから当該処分庁に審査請求されたものとみなす(83条5項)
    • (適用範囲)
      • 行政不服申立て全体に通ずる規範
    • (間違った教示に対する救済ルール)
      • 審査庁を誤って教示した場合:
        • 教示された行政庁に審査請求がなされたとき、当該行政庁は、速やかに審査請求書を処分庁又は審査庁に送付、かつ、その旨を審査請求人に通知(22条1項)
      • 再調査の請求ができないのにできると教示した場合:
        • 再調査の請求書を審査庁となるべき行政庁に送付、かつ、その旨を再調査の請求人に通知(22条3項)
      • 以上の手続により審査請求書・再調査の請求書が審査庁に送付されたとき
        • 初めから審査庁に審査請求がなされたものとみなす(22条5項)

情報提供制度

    • 行政庁は、不服申立てをしようとする者又は不服申立てをした者の求めに応じ、不服申立書の記載に関する事項その他不服申立てに必要な情報の提供に努めなければならない(84条)
    • 行政庁は、裁決等の内容、不服申立ての処理状況について、公表するよう努めなければならない(85条)

 

不服申立前置の見直し

  • (原則)不服申立てをするか、ただちに出訴するかは自由(行訴法8条1項本文)
  • (例外)法律で不服申立前置を定めている場合
    • 不服申立前置により国民の裁判を受ける権利を不当に制限していると批判がある。
      • 以下3つの場合以外、不服申立前置を廃止する方向
        • ①不服申立ての手続に一審代替性(高裁に提訴)があり、国民の手続負担の軽減が図られている場合
          • 電波法、特許法
        • ②大量の不服申立てがあり、直ちに出訴されると裁判所の負担が大きくなると考えられる場合
          • 国税通則法、国民年金法、労働者災害補償保険法
        • ➂第三者機関が高度に専門技術的な判断を行うなどにより、裁判所の負担が低減されると考えられる場合
          • 公害健康被害補償法、国家公務員法

 

行手法の改正

概要

    • (行手法改正の趣旨)
      • 国民の救済手続を充実・拡充する観点から、不服申立ての対象とならない処分前の手続、および、行政指導に関する手続について法整備した
    • (対象)
      • ①処分権限を背景とする行政指導に係る根拠の明示(行手法35条2項)
      • ②法令違反の行政指導に対する中止等の求め(36条の2)
      • ➂法令違反是正のための処分・行政指導の求め(36条の3)

①権限濫用型行政指導の明確原則

    • 法定要件に反し違法とはいえないが、行政機関の有する許認可等の権限を濫用するかたちで相手方に行政指導の内容の履行を余儀なくさせるようなタイプの行政指導を抑止するための法的措置
    • (明確原則・明示原則)
      • 以下の内容の明示義務(35条2項各号)
        • 1号:当該権限を行使しうる根拠となる法令の条項
        • 2号:根拠法令の条項に規定する要件
        • 3号:当該権限の行使がその要件に適合する理由

②違法な行政指導の中止等の求め

    • 違法な行政指導に係る事後救済手続
    • (手続の対象:36条の2第1項)
      • 法律に根拠を有し、かつ、法令違反行為の是正を求める行政指導
    • 申出
      • 申出を受けた行政機関に応答義務はない
        • ※「申請」であれば、行政機関に応答義務がある(行手法2条3号)
      • 申出書を提出する(36条の2第2項)
    • 申出に対する行政機関の対応(36条の2第3項)
      • 必要な調査を行う
      • 当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるとき、当該行政指導の中止その他必要な措置を取らなければならない
      • ※申出をした者に対する通知・連絡については規定なし

➂一定の処分又は行政指導の求め

    • 行政に対して適正な権限行使・職権発動を促す手続
    • (主体)
      • 「何人も」(36条の3第1項)
    • (要件)
      • 法令に違反する事実の存在
      • その是正のためになされるべき処分又は行政指導がなされていないと思料するとき
      • 権限を有する行政機関への申出 ※「申請」(行手法2条3号)ではない。
    • (手続)
      • 申出書の提出(36条の3第2項)
    • (申出を受けた行政機関の対応:36条の3第3項)
      • 必要な調査を行う
      • その結果必要があると認めるとき、当該処分又は行政指導をしなければならない。