• 要件
    • ①役員等としての会社に対する任務懈怠
      • 第三者を保護するために定められた特別の法定責任
        • 株式会社は社会的に重要な役割を果たしており、その業務執行が取締役に依存していることから
    • ②①についての悪意又は重過失
      • 任務懈怠についての悪意重過失を証明すれば足り、第三者は自己に対する加害についての悪意・重過失を立証する必要はない。
    • ➂損害の発生および額
      • 因果関係が認められる限り、直接損害・間接損害いずれについても責任を負う。
    • ④①と➂との因果関係
  • 役員等の範囲
    • 名目的取締役
      • 選任決議を経ている以上「役員」に当たる。
        • ※ただし、因果関係が否定されることはある
    • 登記簿上の取締役(表見取締役)
      • 取締役就任登記に承諾を与えた者は、908条2項類推適用により、自己が取締役でないことを善意の第三者に対抗できない(908条2項の趣旨は禁反言)。
      • ∴429条1項責任を負う。
    • 退任登記未了の取締役
      • (原則)
        • 429条責任を負わない。
          • 自ら退任登記できないから、禁反言は妥当しない。
      • (例外)
        • 不実の登記を残存させることにつき、明示的に承諾を与えていたなど特段の事情があれば、908条2項類推適用→429条責任肯定
  • 取締役会を通じての監視義務
    • 取締役は、他の取締役を監視する義務を負う。
      • (理由)
        • 366条、362条2項3号、362条2項1号、362条4項3号
          • 取締役会は、取締役の職務の執行を監督する(362条2項2号)
          • 取締役会は、代表取締役の選定・解職権を持つ(362条2項3号)
          • 取締役会は、重要な使用人の選・解任を取締役に委任できない(362条4項3号)
          • 取締役会は、業務執行の決定をする(362条2項1号)
          • 取締役会は、各取締役が招集する(366条)
        • ∴取締役は、取締役会を通じて、他の取締役等の業務執行を監督すべき権利義務を有している。
    • 非上程事項にも監視義務は及ぶ
      • (理由)
        • 取締役会に上程されていない事項も取締役会を招集して監視できるから
  • 第三者の範囲
    • 「第三者」=任務懈怠の当事者と会社以外のすべての者
      • ※直接損害の株主は含まれる。
      • ※間接損害の株主は含まれない。
        • 株主の間接損害は株主代表訴訟で救済すべき
          • そう解さなければ、取締役は株主と会社に二重に責任を追及される。
  • 損害
    • 429条1項は、第三者を保護するための法定責任
      • ∴直接損害・間接損害とも含まれる。