(1)譲渡の基本形

  • 株券発行会社
    • 株券交付が譲渡の効力要件(128条1項)+第三者への対抗要件
    • ※会社に対する対抗要件は株主名簿の名義書換(130条2項・同条1項)
  • 株券不発行会社
    • 譲渡は意思表示のみで有効(128条1項本文反対解釈・民176条)
      • 会社と第三者に対する対抗要件は、株主名簿の名義書換(130条1項)
  • 株式譲渡自由の原則(127条)

 

(2)権利株と株券発行前の譲渡制限

  • 権利株(会社成立前または募集株式発行等の効力発生前の株式引受人の地位)の譲渡
    • 会社に対抗できない(35条、50条2項、63条2項、208条4項)
      • 「効力を発しない」とは書いていないので、当事者間では有効(判例)
  • 株券発行会社において、株券発行前の株式譲渡
    • 会社との間では効力が認められない(128条2項)
    • しかし、当事者間では有効
      • (理由)
        • 128条2項の反対解釈
        • 128条2項の趣旨は、株券発行事務の渋滞防止という会社の便宜
    • ∴会社側から譲渡の効力を認めるのは問題ない。
  • 株券発行を不当に遅滞している場合
    • 128条2項の適用はなく、会社に対しても譲受人は株式譲渡の効力を主張できる。
      • (理由)
        • 株券発行事務の渋滞防止という趣旨が当てはまらない。

 

(3)譲渡制限

  • 譲渡制限の根拠
    • 株式会社は定款によって株式の譲渡制限(譲渡には会社の承認が必要とする旨の制限)ができる(107条1項1号、108条1項4号)。
    • 譲渡承認機関
      • 取締役会設置会社・・・取締役会(139条1項)
      • 取締役会非設置会社・・・株主総会の普通決議(139条1項・309条1項)
    • 承認を欠く譲渡も、会社に対しては無効だが、当事者間では有効
      • (理由)
        • 譲渡制限は会社にとって好ましくない者を経営から排除するためのものなので、会社との関係で無効とすれば足りる。
        • 137条1項・138条2号は、当事者間では譲渡が有効なことを前提とした規定である。
      • ※承認を欠く譲渡において、会社はなお譲渡人を株主として取り扱う義務があるか?
        • 承認を欠く譲渡は会社に対しては無効であるから、会社は譲渡人を株主として取り扱う義務がある(判例)
    • 譲渡担保も譲渡に当たる(判例)。
  • 譲渡承認請求の手続
    • 株式譲渡者からの承認請求(136条)又は株式取得者からの承認請求(137条1項)
    • 取締役会又は株主総会の承認の諾否の決定(139条1項)
    • 譲渡承認請求者に決定内容を通知(139条2項)
      • 承認請求の日から2週間以内に通知がない場合、みなし承認(145条1項1号)
    • <不承認+株式の買取請求もされていた(138条1号ハ、同条2号ハ)場合>
      • 会社が対象株式を買い取る(140条1項)。または、株式買取人を指定(140条4項)
      • 会社又は株式買取人が、譲渡承認請求者に通知(141条1項、142条1項)
        • 会社が、139条2項の通知から40日以内に141条1項の通知をしなかった場合、みなし承認(145条2号)
          • 指定買取人が、139条2項の通知から10日以内に142条1項の通知をした場合は、みなし承認されない(145条2号かっこ書)
        • 145条3号→規則26条
    • 株券の供託(141条3項、142条3項)
    • 売買価格の協議(144条)

 

(4)自己株式の取得と処分

  • 自己株式取得
    • 原則禁止、例外許容→155条
  • 原則禁止の趣旨
    • ①資本維持原則に反する
    • ②株主平等原則に反する
    • ➂会社支配の公正を害する
    • ④株式取引の公正を害する
  • 自己株式取得のメリット
    • 自己株式取得を認めれば、合併対価に自己株式が使え、機動的組織再編が可能になる
  • 自己株式の権利制限
    • 議決権はない(308条2項)
    • 剰余金配当請求権もない(453条かっこ書、454条3項かっこ書)
    • 残余財産分配請求権もない(504条3項かっこ書)
  • 財源規制
    • (原則)
      • 分配可能額を超えている場合、自己株式は取得できない(461条1項1号~7号、166条1項ただし書、170条5項)
    • (例外)
      • 会社に株式買取義務がある場合は、財源規制がない(155条7号、同条10号~12号、116条1項、469条1項、785条1項、797条1項、806条1項等)
    • ※財源規制違反は、違法な剰余金配当と同様になる。
  • 処分の規制
    • 自己株式の処分は、新株発行と同様の規制(「募集株式」(199条1項)という概念)
  • 自己式取得の手続規制
    • 156条以下
    • ※手続違反の自己株式取得の効力
      • 例:定款に別段の定めのない取締役会設置会社が、株主総会決議を経ずに取締役会決議のみで、公開買付の方法で自己株式を取得(156条1項、165条1項2項違反)
      • 民93条類推適用
        • 原則有効
        • 会社が相手方の悪意又は有過失を立証すれば、無効を主張できる。
      • (理由)
        • 取得手続きを経ていない場合、会社の内部の意思決定がないにもかかわらず、購入契約の意思表示をしたという点で、心裡留保の構造と類似

 

(5)子会社による親会社株式取得の禁止

  • 135条1項
    • 違反の効果は自己株式取得規制違反と同様